~したいんですけど・・

今日も以前の職場の経験ですが・・・

今振り返ると、言葉の捉え方の違いが重なって、業務がスムーズに行かないことが多かったなー、と思います。

そのときの、同僚がよくぼやいていたのは・・・上役であるBさんの指示出しについてです。

例えば、「取引先に、BCCで一斉メールを出してね」というべきところを。

「あのー、取引先にメールを出したんですけど・・・」というものなんですね。

これ、上役としては上から目線の命令ではなく、部下の主体性や自律性を大切にしてくれているつもりなんでしょうか。指示を受ける側からすると、すごいわかりにくいんです。部下も、それぞれ忙しい中で、神経の使う作業を突然振られるわけです。

また、「メールを出すのは私への指示なのか。独り言なのか。それとも、言葉通り、送りたいということなのか」を推測しなくてはいけないわけです。

ほんとうに、これは評判が悪かったし、私も、「出しとけばいいんですね?急ぎですか?」という確認を毎回しなくてはならず、面倒でした。

けれども、あるとき、Bさんの立場を推測したことがあります。Bさんは、24時間を仕事にささげる人でした。自分の担当以外のことであっても、自分のこととして見る部下を高く評価していました。Bさんが出したいという気持ちを共有し、それを我が事として引き受けるようにすることを望んでいたのかもしれません。

これはこれで立派ですが、仕事の効率などは悪いよなー、と今でも思っています。

 

 

 

「提案」って

提案・・・(会議に)議案や自分の考えを出すこと。また、その議案や考え。

議案・・・会議にかける案件(取り上げられることがら)。

いずれも、三省堂「現代新国語~第四判~」より

上役や経営者から、フランクな感じで、「何か提案してよ」と言われた。

LINEやMessengerで「提案お願いします」というメッセージが来た。

こういうときは、社内会議と同じように、真剣に、緊迫感を持って対応する必要がありそうです。間違っても、なんとなくいい加減に返事をするのは避けないといけない。

また、突然こういう話を振られて、何も返すことができない、ありません、と言ってしまうことは避けたいものですよね。

こういう振りをしてくる上役や経営者は、「提案」で何が返ってくるのかによって、自分を評価している可能性が高いわけだから。

 

 

私が接した経営者③

私がその職場を去ってもうしばらく経つが・・・当時の職場を振り返ることがある。

経営者は、「何かを任せられる人」「自主性を持って、主体的に動ける人」「何かをいつも提案できる人」がほしいと、いつも口癖のように言っていた。

けれども、そこには、こんな条件があったと思う。

「自分(経営者)の価値観や美学を壊さないものに限る」

こういうことだ。

「提案」ということについて、少し考えたい。当時の職場では、私も経営者から「何か提案をしてください」と言われることが頻繁にあった。

けれども、その提案とは・・・経営者の考えを否定したり、私なりの希望をかなえてくれたりすることではない。経営者には、すでに明確な方向付けなり、青写真がある。

そのとき、私たち部下に求められるものは何か。自分たちの考えを思いっきりぶつけることではないし、ましてや日頃の不満をぶつけることでもない。経営者自身がイマイチ自信を持てない部分だったり、考えがあいまいだったりする部分を補うような説明をするということだ。

この点をはき違えていると、前の記事で書いたAさんのような結果になる可能性が、たいへん大きい。

 

 

私が接した経営者②

前回の記事の続き。

経営者の意図に何となく気が付いたとき、同時にこれは、私自身も試されていると思った。

何を試されているのか。マネージャーの立場で、部下になっている人たちをしっかり引っ張っていく力量があるのかどうか。経営者の価値観に沿った形で、Aさんを指導できるかどうか。業務上の連絡や相談という形をとりながら、Aさんと私という複数の働き手をまとめて評価できる。こうやって、人材を選別していく。ふるいにかけていく。これは、マネージャーの立場になって、初めて分かったことだった。

少し前までは、経営者のAさんへの言動は、厳しいもの、そっけないものがあった。それが、Aさんへの指示や連絡は、他の人を介して行うようになった。経営者がAさんに直に顔を合わせたときは、打って変わって笑顔で接するようになった。Aさん自身は、こうした態度の変化に戸惑いながら、追い詰められていったように思う。

ほどなくして、契約していた社会保険労務士と税理士という、職場のコンサルタント的な立場の人が、経営者を頻繁に訪れるようになった。それからすぐだったと思う。フルタイムだったAさんが、パートタイムとなって、新たにがんばってもらうという連絡が職場内を回った。

ここで、ようやく全体が見えてきた。Aさんに降格や退職を本人に迫ることはパワハラになる。また、業務上の改善を指導しないでの降格や退職勧奨は、下手をすれば訴訟沙汰になるか、労働組合に相談される。こういったことを避けながら、私を介して、材料を仕入れていたのかもしれない。(つづく)

 

 

 

私の接した経営者①

以前の職場は、パートタイムのスタッフはお客様扱いで、ちょっとした雑用をこなしたり、少し先を読んだ作業をしたりするだけで、経営者に褒められることが多かった。一方、社会保険や年金に加入するフルタイムで働くスタッフに対する経営者の要求は厳しかった。経営者の求める水準に達しないと判断されたスタッフや、価値観の合わないスタッフは、本人への同意の上でという形をとり、フルタイムからパートタイムへの「降格」もあった。

あるとき、先輩のAさんが降格された。ざっくばらんな飾らない性格の先輩だったが、報告・連絡・相談をせずに勝手に仕事を進めてしまうことが多かった。例えば、上司や経営者を飛び越えて、業務の依頼先や取引先の人に相談や連絡をして、自社の者にはあまりしない、など。また、手っ取り早く業務を片付けて、ネットサーフィンをしていることもあった。

経営者に求められたのは・・・Aさんが処理した仕事の書類の見直しをし、どういうミスがあったのか。Aさんからどういう相談を受け、二人でどのように業務を進めたのか。Aさんの仕事ぶりにどういう改善があったのか。水面下で詳しく報告することだった。あくまでも、業務上の連絡や報告なので、私も拒否できない。純粋に、私も、困った先輩のフォローくらいにしか思っていなかった。残念ながら、Aさんの仕上げたものは、間違いも多かった。

経営者への報告の場面は、4回くらい。必ず、Aさんがいない時間帯やシフトに入っていない日に設定された。Aさんの悪口という形は決して取らない。経営者は、あくまでも、取引先への迷惑にならないようにということを前に出していた。しかし、終わりのころになると、ところどころにAさんへの非難が混じってきた。

その時になって初めて気が付いた。「Aさんの改善と取引先様へのサービス改善の両立」という名のもとに、降格させようとしているということに。

 (つづく)